映画 シン・ゴジラみてきた
圧倒的パワーにエンドロール中はもちろん、会場が明るくなってからもしばし立ち上がれなかった。スポーツ観戦にでも来たのだろうか。
震える足を何とか動かして、そうだ、トイレに行きたかったんだと。用を足しながら、手が震えているのを感じた。
手に汗握るとはよく言うけれど、全身汗びっしょり。もはやグッショリ。館内の空調が弱かったかな?
いや、それ以上に興奮していたのだと思う。他の観客も確実に汗ばんでいた。しかし、その暑さ、熱さか心地よかった。心だけでなく体中を震わせる映画には初めて出会った気がする。
心拍数の変化を感じるほどに興奮した。ドキドキとかそういう表現では追いつかない。隣の人に心音聞こえるんじゃないかと心配なほど。鼻息は確実に荒かった。フヒーフヒーとぶた鼻のように荒い呼吸だっただろう。周囲の人ほんとごめんなさい。
観ている側に余裕がなくなっていく
序盤のうちは、いい役者揃えてるなぁとか、甘利さんにそっくりだなぁとか、東日本大震災や原発事故に寄せた内容もあって、さすがうまいなぁとか考えていた。
ゴジラに対応する政府の描写もリアリティがあり(リアルかはわからんが)自衛隊への協力要請とか交渉の担当者はさぞ苦労しただろうなぁとかとか。
他の映画やドラマだとそういった作品とは別のことに気が行ってしまうどうしようもない性格だが(末端ではあるがテレビの仕事していた時期もあった者として)そんな邪推はいつからかすっかりと消えて純粋な観客となった。
シン・ゴジラの世界のひとりの国民となった
いま、ゴジラが日本に上陸していて、自分には何ができるだろうか?と本気で考えてしまうほどであった。
そして、終盤に連れて、日常に不安を抱えながらも今を生き、祈るしかない国民になった。もちろん、自分が今住んでいる東京の街が壊滅していく姿には唖然としたし、多くの大爆発を含む激戦は興奮するもであったが、そういう描写はハリウッド映画に比べたら地味。地味なのに、派手じゃないのに、どうしてこんなに興奮しているのか。
普通のアクション作品であれば、巨大生物に壊されていく建造物に対して「もっとぶっこわせー!ド派手にやれー!」となるが、シン・ゴジラは違った。
もうやめて!これ以上東京を傷つけないで!!
やめてくれーーーーと叫びそうになった。こんな、無慈悲な……と。さらに汗グッショリ。
一般市民の描写が少ないというレビューも有るようだが、全く違う。むしろ、市民が主人公の映画と言っても良い。ここでいう「市民」とは、劇場に来ている観客一人一人だと感じた。
自分自身もそうだし、隣の人、前後の人、この会場にいる全員が主人公に仕立てあげられている雰囲気。映画単体では主人公が存在しない。いい意味で、キャストの誰にも感情移入できないのである。ゴジラですら脇役感がある。こういう視点で観た映画は初めてだった。驚いた。
そして、ハリウッドなら絶対にあるだろう、最後のシーンが無かった。絶対にあると思ったシーンが無かった。と、同時に、そんなシーンがあると思った自分を責めるほどだった。
ぜひ、どんなシーンが無かったのか、劇場で確かめてみてほしい。あと、心置きなく楽しむために、体調を万全に整え、事前に予約をして、劇場のど真ん中で、大画面に没入して滝のような汗をかきながら観劇していただきたい。
過去のゴジラ作品や、エヴァンゲリオンシリーズ、私はどちらも観ていませんが、そんなの関係なく楽しめました。(遠い記憶でスペースゴジラを観たような…)
※地味とか言ったけど、もちろん戦闘シーンは本当にすごい。兵器の専門家はどうみるかわからないが、地味ゆえにリアリティがあったように感じる。